著者
岩田 伸人 LEE LisaYu-ting
出版者
青山学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

アフリカにおけるバイオ燃料について、アジア、ラテンアメリカに視野を広げながら草案をまとめた。本草案は国連大学高等研究所の研究員らと共同執筆する、2013年6月開催のアフリカ開発会議(TICAD)で発表される政策提言の基礎的材料となる予定である。アフリカのバイオ燃料研究の総括は、昔からの土地所有者たちとバイオ燃料用作物の農場開発を望む外国投資家たちとの対立を明らかにしている。また、バイオ燃料用作物の土地開墾のため森林が伐採されていることから、バイオ燃料は世界的規模の温室効果ガス削減への優れた解決策にならないかもしれないと指摘している。総括の内容は国連大学高等研究所内の一連のセミナーの一部で発表され、2012年1月にはオーストラリア、同年3月にケニヤとウガンダで関連調査が実施された。これら2011年度の調査により、東アフリカで栽培されているバイオ燃料用作物は石油代替燃料としての有効性が限定的であることがわかり、2012年度のバイオ燃料産業の実現性に関する研究に深い考察を与えた。ウガンダのエネルギー利用の事例研究結果は、『Energy Economics』誌に近く掲載される。またヤトロファが生態系サービスに与える影響に関し、オックスフォード大学動物学科の研究者らと協働してESPA(Ecosystem Services for Poverty Alleviation)の報告書をまとめ、2012年10月にインドのハイデラバードで開催された生物多様性条約(CBD)締約国会議で発表された。本報告書に基づいた専門誌掲載が準備中で、研究者らとの協働は続いている。さらに2013年3月タイのバンコクで開催されたワシントン条約(CITES)締約国会議のサイドイベントで発表された政策提言の準備と発表に携わった。