- 著者
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片山 めぐみ
岩田 有佐
- 出版者
- Japanese Society for the Science of Design
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- pp.85, 2012 (Released:2012-06-11)
本研究は、筆者が飼育員と共に施設デザイン携わった、札幌市円山動物園「エゾヒグマ館」を事例とし、動物本来の行動を引き出し、効果的に伝える展示施設のデザインについて、観覧者の発話に注目して考察することを目的としている。当該施設に飼育されている、エゾヒグマ1頭の行動観察および観覧者の発話の聞き取りを実施し、ヒグマの行動時間配分および観覧者の発話を内容毎に分類した。本研究では、動物に対する畏怖や共感につながる表現として、【感嘆】および【親しみ】の発話に注目し、このような発話がされた際のヒグマの行動や両者の位置関係を含む周辺の物理的状況について分析し、ヒグマの自然な行動が効果的に伝わるデザイン手法についてパターン化した。結果、放養場の奥行きや高低差、観覧スペースと放養場の境界のつくり(床レベルの差、接近性を重視したガラス窓もしくは音や匂いを伝える格子窓)などが両者の関係をとりもつ効果的な効果的なデザイン手法と考えられた。