著者
片山 めぐみ 柿山 浩一郎 張 浦華
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.105-112, 2011-11-30
被引用文献数
1

本研究は、動物園における歩行移動時の高揚感に影響を及ぼす経路の物理的要因について実験により検証し、高揚感の上昇に効果的な経路デザインについて考察することを目的とする。実験には、高揚感の上昇・下降に従ってボタンを押すと経過時間と共にデータが保存されるツールを開発した。実験経路には、動物の生息地を探検しているように環境がデザインされている動物園経路を採用し、歩行移動時の動画を被験者に提示した。実験終了後に高揚感が変化した理由について変化地点ごとに聞き取りを行った。実験結果として、視界を遮ったり暗くすることで先の空間に期待を抱かせ、さらにその先に何か発見や驚きがあることが高揚感の上昇に繋がることを読み取ることができた。このことから、展示空間までの経路を効果的にデザインするには、行く手を遮る要素(カーブや暗闇)などによって十分に期待を持たせ、その先に発見や驚きを与える要素(印象的な形態の樹木や岩、滝、光など)の設置をひとつのループとして経路上に配置していくことが効果的と考えられる。
著者
片山 めぐみ 相内 進 向井 猛 柴田 千賀子 白石 将也
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.20, no.44, pp.225-230, 2014-02-20 (Released:2014-02-20)
参考文献数
4

We report on the design aspects and process of the Asia Zone of Sapporo Maruyama Zoo opened in December 2012, and in particular, focusing on the snowy cold region. We accumulated the zoological design perspectives and experiences since the beginning of the Maruyama Zoo restart project started from 2006. The project was advanced through creating a design guidebook for the zoological exhibition that promotes compassion towards animals and anticipation upon meeting them. The ideas of breeding staffs on the design were reflected to draw the characteristic behavior of animals.
著者
片山 めぐみ
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.771-777, 2010-03

2005年に北海道の知床半島が世界自然遺産に設録された。今回の登録は、登録地が住民の生活域を含む点においても注目されており、隣接する斜里町(人口約13,000人)と羅臼町(約6,500人)では、自宅の裏庭が自然遺産という状況も珍しくない。なかには個人や町の所有地も含まれる。登録に際しては、登録地周辺も含めた地域住民の日常生活に対する配慮が不可欠とされているだけでなく、当該自然環境での生活知識をもつ住民が自らの生活を通じて自然保護などの啓蒙普及の役割を担うこと、さらにはエコツーリズム等に必要なガイドの育成が推奨されている。登録に際し、住民の意識調査が実施され、観光に対する期待や観光客増加による環境・生活への影響についてアンケート結果が報告されているが、自然とかかわる日常的な活動や場所には注目しておらず、住民の自然に関する知識や経験、大切にしている場所の理解を通してそれらを活かす方法を検討する必要がある。図-1に見るように、斜里町と羅臼町は、東西わずか30km弱の距離にあるが、半島を南北に走る知床連山に隔てられ、知床横断道路が開通する近年まで互いに往来が少なく、世界自然遺産登録に際しての住民の反応や観光地化に対する意識が異なるという声がよく聞かれる。最近では、両地域とも登録域における漁業をはじめ、山歩きや山菜取りなどの自然と関わる生活行動が制限されるのではないかといった懸念の声が共通している。本研究は、世界自然遺産・知床の登録地内およびその周辺地域における、住民の自然とのかかわり方、および居住地に対する誇りの意識を明らかにし、地域資源の再発見という視点から今後の観光のあり方について考察することを目的とする。
著者
斉藤 雅也 片山 めぐみ 伊藤 哲夫 吉田 淳一 吉野 聖 酒井 正幸
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.15, no.29, pp.207-210, 2009-02-20 (Released:2009-04-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

The old-fashioned orangutan house in Sapporo Maruyama Zoo was renovated with a concept of “environmental enrichment” in 2008 spring. The concept was stretched for not only the orangutan but also visitors and a zookeeper as well. In the outside field for the orangutan, there are soils, many natural plants, and some play equipments such as ropes, beds, seat swings, and ponds. On the other hand, at the observation area for visitors, they can see the movement and the condition of the orangutan at close range through the full-height glazing. In summer solar shading strategies as Sudare and louvers can provide the cool spots for the orangutan, visitors, and a zookeeper as well.
著者
片山 めぐみ 木戸 環希 足利 真宏 朝倉 卓也 河西 賢治 田村 康宗 本間 耕 土佐 貴樹 向井 猛 伊藤 真樹 吉野 聖 伊藤 哲夫
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.17, no.35, pp.289-292, 2011-02-20 (Released:2011-02-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The Hokkaido brown bear house in Sapporo Maruyama Zoo was designed with the concept of “environmental enrichment”. To consider the environmental elements which enrich bear’s behavior ‘Evaluation grid method’ was used to draw wide range of ideas from zoo keepers. In the outside exhibition area all ground is covered by soil and there are a hill, a pond, caves, many natural plants and dead trees for bear’s play. In the two observation spaces visitors can see the bear at close range and hear and smell of the bear through the pipes fixed in the wall. Many characteristic behaviors of the bear and visitors were observed including their communication through the window with a large and thick acrylic resin.
著者
片山 めぐみ 岩田 有佐
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.85, 2012 (Released:2012-06-11)

本研究は、筆者が飼育員と共に施設デザイン携わった、札幌市円山動物園「エゾヒグマ館」を事例とし、動物本来の行動を引き出し、効果的に伝える展示施設のデザインについて、観覧者の発話に注目して考察することを目的としている。当該施設に飼育されている、エゾヒグマ1頭の行動観察および観覧者の発話の聞き取りを実施し、ヒグマの行動時間配分および観覧者の発話を内容毎に分類した。本研究では、動物に対する畏怖や共感につながる表現として、【感嘆】および【親しみ】の発話に注目し、このような発話がされた際のヒグマの行動や両者の位置関係を含む周辺の物理的状況について分析し、ヒグマの自然な行動が効果的に伝わるデザイン手法についてパターン化した。結果、放養場の奥行きや高低差、観覧スペースと放養場の境界のつくり(床レベルの差、接近性を重視したガラス窓もしくは音や匂いを伝える格子窓)などが両者の関係をとりもつ効果的な効果的なデザイン手法と考えられた。
著者
斉藤 雅也 片山 めぐみ 伊藤 哲夫 吉田 淳一 吉野 聖 酒井 正幸
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.15, no.29, pp.207-210, 2009-02-20

The old-fashioned orangutan house in Sapporo Maruyama Zoo was renovated with a concept of "environmental enrichment" in 2008 spring. The concept was stretched for not only the orangutan but also visitors and a zookeeper as well. In the outside field for the orangutan, there are soils, many natural plants, and some play equipments such as ropes, beds, seat swings, and ponds. On the other hand, at the observation area for visitors, they can see the movement and the condition of the orangutan at close range through the full-height glazing. In summer solar shading strategies as Sudare and louvers can provide the cool spots for the orangutan, visitors, and a zookeeper as well.