著者
岩田 正孝
出版者
東京工業大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

研究目的:近年、世界的に異常気象と形容され多発している大規模化する台風、竜巻、暴風雨等の中でも"突風"災害も顕著な傾向にある。本報では、地表面近傍で発生する突風現象は急速に発達する積乱雲が要因との推測より、低コストを前提に"空を見上げる"程度での感覚で簡便な実写記録ができる魚眼撮影系によるPIV(Particle Image Verocimetry)解析を用いることにより、地上に影響を与える"雲の可視化抽出"を図りこの検出精度向上により防災に役立たせることを目的としている。なお実施形態例では現用のアメダス観測網に付帯させての"全天視野雲態挙動解析による突風検知システム"の構築提案も念頭にある。研究方法:雲態挙動の解析では鉛直方向に固定した全周魚眼(180°⊥360°)撮影系でインターバル撮影したデータをパソコンに収録後、PIV解析により各コマ間に記録された逐次移動した"雲位置の差分情報"より、全体雲の流線可視化解析を行う。この可視化により強風時での雲態の移動方向及び速度、竜巻現象があればその渦巻き度などを危険因子として求める。研究成果:魚眼映像による雲態挙動PIV可視化で得た知見を示す。○PIV解析に用いる被写体(雲状態)の解析に用いられる撮影コマ速度は、コマ間の相互相関が保持される範囲のおいて5sec程度の遅速でのインターバル撮影でも解析は可である。これにより、高解像度撮影を採用しても全体の撮影データ量の低減化が図られる。○全周魚眼撮影系では特有の誇張感はあるものの連続性のある全天映像が得られ、撮影時に写し込まれた太陽の輝点軌跡やそれによるハレーションはさほど解析には影響を受けない。○本報では一眼魚眼撮影の為、雲の高度位置情報が得られないために、三次元的には雲態挙動として上昇(多分、成長中と考える)なのか下降(多分、消滅中と考える)かの判別が困難な事を前提に、大雑把だが雲態の移動方位、速度の可視化は得られた。