著者
岩見 雅史
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

インスリンは、線虫や昆虫での研究により、個体の生き残り戦略の要となる分子であることが示されつつある。これは、従来の「血糖調節・代謝調節」に係わるホルモンとしての機能を大きく展開させるものである。昆虫におけるインスリン分子(ボンビキシン)の全貌を明らかにし、Cペプチドの新規機能を明らかにするため、本年度は、新規ボンビキシン遺伝子の発現解析およびアミド化CペプチドのMAPキナーゼに対する作用を検討した。(1)発現解析の結果、Vファミリー遺伝子は脳、Wファミリー遺伝子は脳及び卵巣、Xファミリー遺伝子は脂肪体、Yファミリー遺伝子は脳及び卵巣、Zファミリー遺伝子は脳、脂肪体及び卵巣で発現が見られた。(2)アミド化Cペプチドとして、(1)N-GAQFASYGSAWLMPYSEGRamide-C、(2)N-DAQFASYGSAWLMPYSAamide-Cを用いた。また、非アミド化Cペプチドとして、(3)N-GAQFASYGSAWLMPYSEGRG-Cを用いた。体液ボンビキシン濃度の低い5齢2日と高い5齢10日幼虫からマルピーギ管と脂肪体を摘出し、前培養後、Cペプチド存在、非存在下で培養を行った。MAPキナーゼとしてErk及びp38のリン酸化亢進の有無を、抗リン酸化抗体を用いたウエスタンプロット解析により検討した。マルピーギ管、脂肪体いずれにおいてもアミド化、非アミド化を問わず、Cペプチド投与によるリン酸化Erk及びp38の増加は見られなかった。各実験区においてデータのばらつきが多いため、条件等の再検討が必要である。また、今後、他の組織、PI3キナーゼ等の他のシグナルカスケードで検討も必要である。
著者
岩見 雅史 本 賢一 桜井 勝 桜井 勝
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

カイコガの変態時における脳の変態制御の中枢としての機能を探るために,発生過程での使用される遺伝子の網羅的解析を試みた。サブトラクションライブラリーから,エクジソン応答遺伝子を10遺伝子単離し,前胸腺刺激ホルモン産生細胞でのみ発現することを示した。マイクロアレイを用いた網羅的解析では,前終齢特異的発現を示す3遺伝子(ADAMTS様タンパク質,チトクロームP450,Kruppel様タンパク質をコード),終齢脳特異的発現を示す遺伝子(クチクラ様タンパク質をコード)を同定した。