著者
田原 大輔 羽田野 亮 岩谷 芳自
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.37-43, 2008-03-20 (Released:2012-09-04)
参考文献数
26
被引用文献数
1

カマキリ養成2才親魚の卵巣成熟度を,外観および組織観察から周年調査した。卵母細胞の発達段階,残留卵の状態と再吸収の進行状況を基に,卵巣成熟度を6段階(前卵黄形成期,卵黄形成期,成熟期,退縮前・中・後期)に分類した。残留卵の出現は産卵期が近づくにつれ低くなったが,ほとんどの養成親魚の卵巣内にほぼ周年残留卵は認められた。残留卵の長期滞留の発生は,親魚が過熟卵を放卵できず,卵巣での再吸収に長期間を要することによる。また,残留卵をもっていた親魚でも排卵し良質卵が得られた場合があり,残留卵の長期滞留と翌年の成熟への影響は明確ではない。