著者
藤井 亮吏 古屋 康則 棗田 孝晴 田原 大輔
出版者
岐阜県水産研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

無秩序な移植・放流による遺伝的な撹乱の危険性を、イメージしやすく説明するため、カジカ大卵型を対象に、個体群ごとの産卵期の違いを明らかにすることを目的に、産卵実験および河川調査を行った。その結果、環境が異なる河川の個体群は、同じ水温であっても、それぞれ異なる時期に産卵を開始することが明らかとなった。また、産卵開始は最低水温や特定の水温に上昇した時などといった、水温変化の目立ったタイミングとは無関係であると考えられた。これより、カジカ大卵型の産卵開始は、その時の水温ではなく光周期などの他の要因によって、生息環境にあわせて繁殖に最適な時期になるよう決定づけられていると考えられた。
著者
田原 大輔 青木 治男 中村 圭吾
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-17, 2019-07-28 (Released:2019-09-10)
参考文献数
42
被引用文献数
1

本研究はこれまでに 4 回実施された九頭竜川のカマキリ(アユカケ)(地方名:アラレガコ)の調査データを整理し,本種の保全および再生の方策をまとめた.アラレガコ成魚は 12 月下旬から 3 月(産卵盛期は 1 月中旬から 3 月中旬)に河口内の水深 3 m 程の海水層または沿岸浅海域で確認された.仔稚魚は 2 ~ 4 月まで河口に隣接する砂浜海岸および河口内浅場で採集された.アラレガコ当歳魚は 4 ~ 8 月まで河川水際の浅場を成長しながら遡上していた.九頭竜川における現在の残された生息場は,河口から 23.0 ~ 29.4 km の中流域であった.国天然記念物である"九頭竜川のアラレガコ生息地"は,かつての生息範囲と比べて 1990 年代以降に約 1/3 に縮小化していた.アラレガコの主要な生息場および越冬場は,ともに早瀬および平瀬等の浮き石環境であった. 1990 年以降は全長 250 mm 以上の大型個体がアラレガコ伝統漁法でほとんど漁獲されていないことから,アラレガコの小型化が懸念された.本研究では 2 つの重要なアラレガコ保全策を提案する.一つ目は沿岸浅海域の環境および河川の浮き石環境を維持・創出していくこと,二つ目は鳴鹿大堰上流のかつての生息域には遺伝的多様性を有した稚魚を再導入することである.
著者
高橋 佑輔 松江 右武 三輪 佳雅 平山 泰丈 奴田原 大輔 石井 健太郎 中村 洋典 高垣 信一 植田 健治 片上 利生 宮岡 正明
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.118-119, 2010-12-10 (Released:2013-07-25)
参考文献数
2

A 29-years old woman, who had a history of mental retardation and abnormal habit of eating tissue papers, was admitted to our hospital because of abdominal pain and vomiting. Abdominal X-ray and CT scan demonstrated much intestinal gas, and a colonoscopy revealed obstruction caused with tissue papers and large ulcers in the sigmoid colon. Therefore, we removed the tissue papers endoscopically using a grasper. After endoscopic treatment, her symptoms were immediately improved and a few longitudinal ulcer scars were seen, three month later. The endoscopic extraction was safe and effective in the colonic obstruction with tissue papers.
著者
福井 謙太郎 藤井 亮吏 田原 大輔 早川 洋一 古屋 康則
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.173-186, 2007-11-26 (Released:2011-12-02)
参考文献数
39
被引用文献数
1

Gonadal development and serum profiles of sex steroids in reproductive KAJIKA, Cottus sp.SE (small egg type), were monitored over a 12-month period. The female reproductive cycle was divided into the following 5 periods based on oocyte development: recovery period (May to August), cortical alveoli formation period (September), vitellogenic period (October to December), reproductive period (January and February) and spent period (March and April). Based on ovarian histological observations, females may spawn 2 or 3 times in one reproductive period. Serum levels of estradiol-17β increased during the vitellogenic period, indicating regulation of the vitellogenetic progress. Serum 17, 20β-dihydroxy-4-pregnen-3-one in females exhibited high levels only during the reproductive period, suggesting a role in inducing final oocyte maturation. The male reproductive cycle was divided into the following 5 periods based on testicular histological observations: resting period (June to August), spermatogonial proliferation period (September), spermatogenic period (October and November), reproductive period (December to February) and spent period (March to May). Parasperm formation, which is known in some cottidae species, was noted, occurring in the sperm ducts during the spermatogenic period, but only in the main testicular lobes during the reproductive period. Serum 11-ketotestosterone levels in males increase of continually during the spermatogenic period, suggesting a role regulation of spermatogenesis in this species.
著者
富永 修 田原 大輔
出版者
福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

資源水準が極めて低いタケノコメバルを放流する事により遺伝的影響を評価し、多様性を保全するために凍結精子を用いた人工授精技術の開発を目的とした。タケノコメバル人工種苗集団を放流することで、瀬戸内海東部の野生集団の年級群間のFst値に有意差は認められなかったものの、2005年以前年級群から2009年級群の間で7.4%の低下が認められた。また、凍結精子保存と解凍方法に関して実験を行い、凍結防止剤の選定および冷却速度、到達温度、ならびに解凍速度および凍結防止剤除去方法を確立できた。しかし、凍結精子を用いた人工授精は一部成功したものの事業化には受精率の改善が必要である。
著者
田原 大輔 杉本 亮 富永 修 谷口 真人
出版者
福井県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

小浜湾への地下水湧出量を222Rn・塩分の収支モデルから推定したところ、地下水は、全淡水流入量の4~44%を占めており、河川流量の低下する夏季にその割合が高くなる傾向にあった。また、地下水から供給される溶存無機態の窒素、リン、ケイ素は、全陸水由来の栄養塩輸送量の平均で39%、58%、37%を占めていた。特に小浜湾の一次生産はリン制限下にあるため、地下水によるリン供給は小浜湾の生物生産において重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
田原 大輔 羽田野 亮 岩谷 芳自
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.37-43, 2008-03-20 (Released:2012-09-04)
参考文献数
26
被引用文献数
1

カマキリ養成2才親魚の卵巣成熟度を,外観および組織観察から周年調査した。卵母細胞の発達段階,残留卵の状態と再吸収の進行状況を基に,卵巣成熟度を6段階(前卵黄形成期,卵黄形成期,成熟期,退縮前・中・後期)に分類した。残留卵の出現は産卵期が近づくにつれ低くなったが,ほとんどの養成親魚の卵巣内にほぼ周年残留卵は認められた。残留卵の長期滞留の発生は,親魚が過熟卵を放卵できず,卵巣での再吸収に長期間を要することによる。また,残留卵をもっていた親魚でも排卵し良質卵が得られた場合があり,残留卵の長期滞留と翌年の成熟への影響は明確ではない。