著者
林 貴史 澤田 隆 清水 哲 河村 良寛 岸 清志
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.1366-1369, 1999-05-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
12

症例は60歳男性.糖尿病を指摘されていたが未治療であった.発熱,嘔気を主訴に入院,抗生剤の全身投与を行うも効果なく,敗血症からDIC状態となる. CTscanで肝外側区域に限局するガス産生化膿性肝膿瘍と診断されたため経皮的膿瘍ドレナージを試みるも少量の排液しか認めず,その排液からはKlebsiella pneumoniaeが検出された.膿瘍を含めた肝外側区域切除と胆嚢摘除術を行った.膿瘍は10×9×5cmで多数の隔壁を有する出血壊死巣であった.術後は治療に比較的よく反応し敗血症, DICは徐々に改善し,血糖はモノタード・インスリンでコントロール良好となった.膿瘍の経皮的ドレナージが困難なガス産生化膿性肝膿瘍症例に対する治療法の1つとして,膀膿瘍を含めた肝切除術は有効な方法と考えられた.
著者
岩本 明美 岸 清志 竹本 大樹 西江 浩 前田 迪郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.2791-2794, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

症例は75歳,男性.StageIIIa直腸癌と診断され,低位前方切除術を施行した.24病日に術後補助化学療法としてUFT/ユーゼルの内服を開始した.口内炎(Grade3)のため7日目に内服を中止.骨髄抑制が増悪し11日目に入院となった.汎血球減少が急速に増悪し,連日G-CSFと血小板輸血,抗生剤投与をおこなった.22日目より増加に転じ,36日目に退院となった.DPD活性は13mol/min/mg proteinと著しい低値でありDPD低活性と診断した.