著者
島尻 艶子 宮城 綾乃 小田口 尚幸 下地 陽子 下地 貴子 兼城 達也 與那覇 俊美 仲里 聰
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.309-314, 2015 (Released:2015-05-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

透析患者でまれな夜盲症を2例経験した. 2例は非糖尿病性腎症で10年以上の長期透析患者であり, リン (P) コントロールのためカルシウム (Ca) 非含有ポリマーが処方され, LDL-コレステロール (LDL-Cho) は低値であった. 眼底検査や頭部MRI検査は異常なく, 網膜電位図検査 (electroretinogram : ERG) と, 血清ビタミンA (Vit. A) 低値によりVit. A欠乏性夜盲症と診断した. パルミチン酸レチノール配合薬2gを補充したところ, 一両日中に夜盲症状は改善した. 2例ともBMI, 血清Alb, KT/V, malnutrition-inflammation score (MIS), そして食事内容調査から栄養状態の悪化はないと考えたが, しかし, 発症時期に標準化蛋白異化率 (nPCR) が連続して2か月以上, 1.0g/kg/日以下であり, Vit. A以外の, 栄養学的な複合要因がある可能性があった.