著者
島尻 艶子 宮城 綾乃 小田口 尚幸 下地 陽子 下地 貴子 兼城 達也 與那覇 俊美 仲里 聰
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.309-314, 2015 (Released:2015-05-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

透析患者でまれな夜盲症を2例経験した. 2例は非糖尿病性腎症で10年以上の長期透析患者であり, リン (P) コントロールのためカルシウム (Ca) 非含有ポリマーが処方され, LDL-コレステロール (LDL-Cho) は低値であった. 眼底検査や頭部MRI検査は異常なく, 網膜電位図検査 (electroretinogram : ERG) と, 血清ビタミンA (Vit. A) 低値によりVit. A欠乏性夜盲症と診断した. パルミチン酸レチノール配合薬2gを補充したところ, 一両日中に夜盲症状は改善した. 2例ともBMI, 血清Alb, KT/V, malnutrition-inflammation score (MIS), そして食事内容調査から栄養状態の悪化はないと考えたが, しかし, 発症時期に標準化蛋白異化率 (nPCR) が連続して2か月以上, 1.0g/kg/日以下であり, Vit. A以外の, 栄養学的な複合要因がある可能性があった.
著者
兼城 達也 與那覇 俊美 平安山 英義
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.129-133, 2014 (Released:2014-08-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

要旨:Paget-Schroetter 症候群は健常な若年者に突然発症する比較的稀な疾患であり,その治療法について一定の見解が得られていない。症例は40 歳代男性で,突然発症した右上肢の腫脹を主訴に当院受診し,エコーとCT で右鎖骨下静脈の血栓閉塞を認めて入院となった。カテーテルによる鎖骨下静脈造影+血栓吸引・溶解療法を施行し,Paget-Schroetter 症候群と診断した。引き続いて根治手術を行った。手術は右鎖骨下アプローチによる右第一肋骨部分切除,肋鎖靱帯切除,前斜角筋離断を行い,術中造影でその中枢側の鎖骨下静脈に狭窄を認めた。胸骨柄にL 字切開を加えて鎖骨下静脈狭窄部のパッチ形成術を行った。術後経過は良好で退院後は術後8 週間の抗凝固療法を継続した。術後1 年間のfollow up で再発を認めていない。