著者
井上 哲郎 松尾 収二 種田 和清 浅野 博 島川 宏一
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.373-377, 2004-08-10
被引用文献数
1

目的: 当院の院内感染対策委員会では職員のインフルエンザワクチン (以下ワクチン) 接種を毎年推奨しているが, 当院職員のワクチンに対する意識調査を行い, ワクチン接種の現状と課題について検討し, その結果を接種率向上のために役立てること.<BR>方法: 2002年4月にワクチン接種に関するアンケートを当院全職員に各部署毎無記名で行った.<BR>結果: 2001年度のワクチン接種率は56.7% (839/1486人) で職種により7-100%と異なった. 接種者のアンケート回収率は78.7%で, 接種理由は自ら希望81.5%, 上司のすすめ20.2%, 同僚のすすめ2.3%. 来シーズンのワクチンの希望は, する96.1%, しない2.3%であった. 一方, 非接種者の回収率は70.0%で, 非接種の理由は必要性を感じない39.3%, 希望したが日の都合があわず19.0%, 有効性への疑問18.8%, 副反応の危惧15.5%, 知らなかった8.4%, 当日の体調不良4.6%, 基礎疾患あり4.0%, 注射嫌い2.4%, 卵鶏肉アレルギー1.8%であった.来シーズンのワクチンの希望は, する33.8%, 有効性や副反応の情報が増えれば希望32.5%, しない28.9%であった.<BR>考察: 職員のワクチン接種率向上のためには, 接種の周知を一層図ること, 接種日を増やすこと, 有効性や副反応に関する啓蒙活動をとくに接種率の低い部署に対して行うこと, などに工夫が必要と思われた.