著者
宮本謙三 竹林 秀晃 島村 千春 宮本 祥子 宅間 豊 井上 佳和 岡部 孝生
出版者
土佐リハビリテーションカレッジ
雑誌
土佐リハビリテーションジャーナル (ISSN:13479261)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.25-29, 2004
被引用文献数
2

介護予防を目的とする様々な取り組みが行われている。高知県香我美町においても平成15年度より県のモデル事業として,高齢者健診による虚弱高齢者の把握と運動教室を開催している。運動教室の成果は費用対効果の観点から評価されることが多いが,運動プログラムの適否を検討するためには身体機能の変化を指標とした評価が不可欠である。今回我々は,平成15年度に実施した運動教室について,3ヶ月間22回の運動教室の前後で運動機能を比較検しその効果を検証した。測定項目は(1)握力,(2)膝伸展筋力(HHD),(3)開眼片脚立ち時間,(4)閉眼片脚立ち時間,(5)長坐体前屈,(6)Up & Go,(7)10m歩行時間の計7項目とした。参加人数は21名で,運動内容はストレッチングと軽い筋力トレーニングを中心に約1時間程度のものである。結果は長坐体前屈と10m歩行時間において改善が認められ,運動内容を反映した一定の効果が得られたものと思われた。そしてこの運動教室は,事業終了後も参加者の自主開催により継続されている。介護予防の取り組みは対象者に継続的な運動習慣を根付かせ,地域全体の健康意識の高まりを促すものでなければならない。今後は,教室の集団構成のあり方を吟味し,集団の機能水準に見合った運動内容を整理すると同時に,機能維持のためのシステム構築を検討することが必要である。