著者
原 三千丸 高尾 信一 福田 伸治 島津 幸枝 桑山 勝 宮崎 佳都夫
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.803-811, 2005
被引用文献数
13

2004/2005年シーズンに, インフルエンザを疑われた小児278例を対象として, 型別判定可能でワンデバイスの4種類のイムノクロマト法インフルエンザ迅速診断キット, エスプラインインフルエンザA & B-N (エスプライン), ボクテムインフルエンザA/B (ボクテム), Quick VueラピッドSP influ (クイックビュー), キャピリアFluA+B (キャピリア) の有用性を比較検討した. なお, ボクテムは, 2005/06年用の改良品である. 鼻咽腔吸引液を稀釈してウイルス分離培養に供し, 残りの検体を遠心して得られた上清を用いて, 迅速診断試験を行った.<BR>40例よりA香港型が, 163例よりインフルエンザB型が分離された. A香港型40例のエスプラインの感度, 特異性は, それぞれ, 100%, 100%, ボクテムは, 95%, 100%, クイックビューは, 98%, 96%, キャピリアは, 98%, 96%であった. B型163例に対するエスプラインの感度, 特異度は, それぞれ, 89%, 100%, ボクテムは87%, 100%, クイックビューは88%, 97%, キャピリアは86%, 98%であった.<BR>B型およびA香港型に対して, エスプラインが, 感度, 特異性共に, 最も優れていた. しかしながら, すべてのキットで, B型に対する感度は, A型と比べて明らかに低く, 改良の必要がある.