著者
土肥 美里 遊佐 真一 島田 善彦 上坂 昌大
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.341-349, 2010 (Released:2010-06-25)
参考文献数
28

pH に応答した会合状態の変化を多段階に制御可能な水溶性ポリマーの合成を目指し,塩基性で側鎖フェノール基のイオン化により親水性を示すポリヒドロキシスチレン(PHS)と,幅広い pH 領域で水溶性を示すポリスチレンスルホネート(PSS),弱酸性の pKa をもつ安息香酸を側鎖結合したポリビニル安息香酸(PVB)からなる ABC 型トリブロック共重合体(PHS18-b-PSS78-b-PVB18)を可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)型制御ラジカル重合で合成した.水中での pH に応答した会合挙動の変化を動的光散乱,静的光散乱,蛍光プローブを用いた実験により調べた.その結果 pH>13 の水中でトリブロック共重合体はユニマー状態で,pH が 13~6 付近で PHS18 ブロックを疎水性のコア,PSS78-b-PVB18 ブロックを親水性のシェルにもつ高分子ミセルを形成した.pH<6 ではミセル間の会合により水溶性の凝集体を形成した.