著者
島田 有紀子 森 源治郎 今西 英雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.617-623, 1995-12-15
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

1. <I>Ornithogalum arabicum</I>の自然条件下における花芽の発育経過を観察するとともに, 花芽の発育および開花に及ぼす温度の影響について調べた.<BR>2. 花芽形成は9月上旬に始まり, 10月下旬には第1小花が外花被形成期から内花被形成期の般階にまで進み, 12月下旬に雌ずい形成期に達した. その後, 花芽の発育は緩慢となり, 4月中旬に四分子形成期に達し, 5月中旬に開花した.<BR>3. 花芽の発達, 開花には10月下旬以降の低温経過を必要としなかった. 花茎伸長のためには低温が必要で, 花茎の長い切り花を得るためには, 1月下旬頃まで自然低温に遭遇させる必要があった.<BR>4. 5&deg;~13&deg;Cの低温は後作用して開花および花茎伸長を促進し, その効果はりん茎を処理する際の乾湿条件に関係なく認められた. さらに, 9&deg;~13&deg;Cは直接的に作用して雌ずい形成期までの花芽の発育を促した. また, この低温は茎頂が生殖生長に転換した初期段階から有効に作用した.<BR>5. 6月中旬入手のハウス栽培球を用いた場合, 100%の開花率を得るためには, 花芽形成に先立って30&deg;C12週間の高温遭遇が必要であった.