著者
松藤 哲義 島田 神生 高橋 寿
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.433-445, 2015-11-25 (Released:2016-02-25)
参考文献数
15

抗肥満・抗糖尿病薬の標的であるbombesin receptor subtype-3(BRS-3)は中枢系のほか、末梢系の消化管にも発現している。Merck社の中枢系作用型BRS-3アゴニストはラットやイヌで抗肥満作用を示すものの、副作用として体温・血圧上昇、心拍数増加が見られた。そこで筆者らは消化管BRS-3へ選択的に作用する、より安全性の高い薬剤の開発を目指した。自社化合物とMerck社化合物の構造類似性から新規分子骨格をデザインし、極性基導入によって中枢移行性の低下を実現した。さらにごくわずかな中枢系曝露を回避するため、生体内代謝によって不活性化するアンテドラッグ5cを考案した。5cはマウス単回投与で摂食抑制作用を示すと共に、イヌ心血管系リスク評価では心拍数・血圧変動の減弱傾向を確認し、薬効と中枢系副作用回避の両立を達成した。