著者
周 玉 石橋 麻子 崎村 雅憲 藤川 真章 山田 弘 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.258, 2006 (Released:2006-06-23)

ある種の化合物は光吸収により分子共役構造部位の電子が基底状態から励起状態に励起し、次いでエネルギーの放出によりフリラジカルを生成し、光毒性を引き起こす。この電子励起の起こりやすさ(HOMO-LUMO gap)はIn Silico化学計算により予測ができると考えられている。本研究ではHOMO-LUMO gap化学計算値による光毒性の予測法の3T3 Neutral Red Uptake Phototoxicity Test (3T3試験)を用いた In vitro試験およびモルモットを用いたIn vivo試験結果に対する予測性について検討した。「方法」134のin house化合物及び光毒性の有無が知られた30化合物を用いて検討を行った。HOMO-LUMO gapはSoftware-Jaguar 5.5を用いて計算した。 3T3試験はOECDガイドライン案に示された方法に準拠して実施した。 In vivo試験では、モルモットにCPFX、LFLXまたは8-MOPをそれぞれ単回経口投与し、UVA照射した後の皮膚反応を評価した。「結果」134化合物のHOMO-LUMO gap値をA(10.5未満)、B(10.5以上 11.7以下)およびC(11.7より大)の3領域に区分し、3T3試験の陽性結果との相関性を検討したところ、それぞれA=100%、B=44% 、C=17%の相関率を示した。光毒性の有無が知られた30化合物の3T3試験結果およびCPFX、LFLXまたは8-MOPのIn Vivo試験結果はいずれもHOMO-LUMO gap値(<10.5)による光毒性予測との相関性を示した。