著者
崎田 裕子
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.388-391, 2014

<p> 事故後約3年が経過し,自然放射線より高い放射線と向きあって暮らす,という日本で初めての状況に福島の方々は直面しており,リスクコミュニケーションの重要性が高まっている。しかし,事故後の放射線量の違い,除染の進捗による低減状況の違いなども影響し,避難継続地域,帰還準備地域,日常生活を取り戻そうとする地域など,地域の状況は多様化し,リスクとの向き合い方は,一人ひとりがどう決断するかにかかっている。また,個人の決断は勿論ながら,地域性に応じた対応や,除染だけではなく復興やこれからの暮らしや地域づくりなど,地域社会の将来像とも密接につながってきている。</p><p> 科学的知見と社会的知見を総合化して地域による柔軟性を確保しながら,放射線を低減し 環境回復を実現しつつ放射線と暮らす方々を,社会がどう支えてゆくのか。住民自身の視点と,それを支える社会システムづくりの視点の両面から,今とこれからの福島を展望する。</p>