著者
崔 昌玉
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学ユーラシア言語文化論集
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-28, 2002-03-20

本稿の目的は,レニングラード学派の提示するdiathesisの理論を現代朝鮮語におけるヴォイスに適用し,そこから得られた結果を記述することである.
著者
崔 昌玉 Choi Chang Ok
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.13, pp.27-44, 2006-09-28

先行研究において,ヴォイスは形態論,統辞論,意味論的な観点から考察されてきた.これらの観点だけでなく,語用論,認知論的観点からもヴォイスを考察しようとする研究も現れている.能動対受動に議論を限定するのであれば,形態論的には能動形が無標形であり,受動形が有標形である.また,統辞論的には能動文における主語や目的語が受動文では能動文の目的語が主語の位置に昇格し,能動文の主語が斜格の位置に降格する.更に,意味論的には能動文と受動文は言語外的事実には何ら相違がない.本稿の目的は一般言語学における意味論的役割について言及するところにある.意味論的役割とは,動作の主体(動作主あるいは動作の源泉)や動作の客体(受動者あるいは動作の受け手)に関わるものである.今までの研究では,意味論的役割について曖昧な議論を続けてきたが,本稿では,その議論を整理し,現代朝鮮語に適用し得る方法論を提示する.