著者
平田 未季 阿部 祐子 嶋 ちはる
出版者
秋田大学国際交流センター
雑誌
秋田大学国際交流センター紀要 (ISSN:21869243)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.23-50, 2018-03

本稿では,秋田大学と国際教養大学の間で行われた留学生を対象とする日本語合同授業の実践の詳細を報告するとともに,異なる大学に所属する留学生同士の交流からどのような学びが得られるのかという点について考察する。筆者らは,秋田市に留学しているという共通点を持ちながら,異なる環境で生活する学生が交流することで,自らの置かれた環境の類似点や相違点を比較することができ,互いに共感や刺激が生まれるのではないかという仮説のもと,2 回に渡り両大学間の合同授業を実施した。本稿では,第1回目の合同授業の準備過程,活動内容の詳細,学生の反応,第1 回目の実践で生じた課題およびそれを踏まえた第2 回目の実践内容を示すことで,異なる大学が,既存のクラスの中で合同授業を行う方法の1 つを提示する。また,従来は日本人学生と留学生の間で行われることが多く,「留学生-日本人」,「自国文化-日本文化」といった二項対立になりがちな多文化クラス活動が,異なる大学の留学生間で実施されることで,新たな学びの機会となりうる可能性を指摘する。