1 0 0 0 OA 人格の研究 4

著者
嶋崎 裕志
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.75-84, 2012 (Released:2017-05-10)

人格を心理学的に考える場合、精神分析学において、心的エネルギーという概念を用いて、内向性と外向性に分類することが、ユングによって提案された。この心的エネルギーは、精神分析学創始者フロイトにより、リビドーと命名されたものと同等と考えられている。本論文では、このリビドーに焦点を当てて、リビドーに至るまで、どのように関連する概念が変遷してきたかを、霊気説、骨相学、進化論、と辿り、次にリビドーを巡って、フロイトとユングは、どのように論争したかを概説する。最後に、現代の言語研究における、生成文法を取り上げ、人間の言語活動における、生成文法が持つ生得性に注目した。以上のリビドーに関連する概念の流れを概説したあとに、結論としては、生成文法の研究と人格の研究を比較し、生成文法に関する最新の研究が実体を伴って成果をあげていく可能性が強く、そこにはリビドーと置換え可能の生得性がキー概念として使われているので、心的エネルギーによって概念的に論議されている人格研究にも、言語研究の実体に即していく研究が貴重な研究指針を提供している、と結論した。
著者
嶋崎 裕志
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.47-60, 2009

人格・パーソナリティをどのように理解し,それを日常場面・臨床場面に生かして,どのように実践していくかは,現代心理学の主要テーマである。従来の理論とその実践をまとめ,さらに新しい視点を取り上げ,その良否を論じたい。心理学と人格・パーソナリティとの関わりは古くから続いてきたと考えられているが,現代心理学と人格・パーソナリティと関わりは複雑な様相を展開してきていると考えられる。今回発表する,「人格の研究1」では,全体で10章を予定しているうちの最初の1章をまとめる。その内容は,序論で心理学における人格・パーソナリティの論議を概括し,次に1章では人格のひとつの要素である「知」について論ずる。