著者
嶋本 昭三
出版者
宝塚造形芸術大学
雑誌
Artes : bulletin of Takarazuka University of Art and Design : 宝塚造形芸術大学紀要 (ISSN:09147543)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.11-22, 1992-03-31

ヨーロッパの美術の歴史はヒエラルキーへの挑戦の歴史と見ることができる。現代において美術のヒエラルキーに対抗するために生まれたそのひとつにメールアートがある。メールアートは1960年代にコンセプチュアル・アートのシミュレーションとして試みられたことがあり,日本では未だにこれをメールアートであるといっているが,世界で捉えられているメールアートとは,郵便手段を通じて,アートやアートに関する思想をお互いに交流する「コレスポンデンス・アート」のことである。そしてそのメールアート行為が発展する中でネットワークが生まれ,これが大きくなる中で「ネットワーキング」というより新しいジャンルとしてひとり歩きするようになった。ここではネットワーキングの現状とその構造について論じた。