著者
嶋田 芳男
出版者
日本介護福祉学会
雑誌
介護福祉学 = Research journal of care and welfare (ISSN:13408178)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.27-35, 2015

地域巡回入浴サービスにかかわる福祉用具等を製造・販売するとともに,同入浴サービス従事者によるサービスの安全を確保するために研修部門と研究部門を社内に組織し,全国の地域巡回入浴サービス従事者を対象として多様な事業を展開してきたA社に焦点を当て,関係資料を収集,分析,評価した.また,それら事業の有益性を「人(従事者)」にかかわる取り組みと,「行政」の取り組みの2つの観点から検討するとともに,各種事業の実践方策を明らかにし,安全確保対策に臨む福祉用具等関係企業のひとつの形態を提示することを目的とした.この結果,安全確保に向けた各種事業は,それぞれ有益であり,5つの事業形態と6つの実践方策(企業の社会的責任の明確化,研究フィールドの提供,連携,活動の蓄積,知見の蓄積,情報発信)に基づいて展開されていた.そして,A社による実践は,他の福祉用具等を製造・販売する企業が,今後参考にすべきものと考えられた.