著者
春山 幸志郎 川上 途行 羽鳥 朱里 池澤 真紀 大塚 友吉 里宇 明元
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.413-424, 2019-05-17 (Released:2019-06-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2

目的:本研究の目的は,脊髄小脳変性症(SCD),多系統萎縮症(MSA)患者のリハビリテーション実施状況による患者背景を比較し,リハビリテーション医療における課題を明らかにすることである.方法:患者会会員914名のアンケート調査を解析し,リハビリテーション実施形態の分布とそれによる基本情報,リハビリテーション関連情報の群間比較を実施した.結果:対象者のうちリハビリテーション実施群は67.9%,自主練習群は17.7%,非実施群は14.3%であった.リハビリテーション実施群では,生活自立度の低下や要介護度の増加に伴い実施割合が増加した.リハビリテーション実施群と自主練習群におけるリハビリテーションによる主観的変化は差を認めなかったが,リハビリテーション実施群では継続の意思が有意に高かった(p=0.018).結論:SCD,MSA患者の自主練習を含めたリハビリテーションの実施割合は高かったが,主観的な訓練効果は明らかでなかった.病期にかかわらず専門職による定期的なリハビリテーション指導が行える環境の整備が必要と考えられる.
著者
春山 幸志郎 川上 途行
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.352-357, 2015 (Released:2015-07-04)
参考文献数
23
被引用文献数
2

目的:脳卒中患者におけるTimed Up and Go test(以下TUG)と運動イメージ能力を反映したimagined TUG(以下iTUG)の時間差の指標が転倒予測に有用か否かを明らかにすること.方法:脳卒中患者47 名の自宅退院後6 カ月間の転倒発生を追跡調査した.ベースラインとして対象者の年齢,性別,疾患名,麻痺側,罹病期間,転倒歴,歩行補助具の有無,MMSE,TUG,TUGとiTUGの時間差(delta time)を退院時に評価した.転倒および評価結果からロジスティック回帰分析を実施し,転倒予測因子を抽出した.結果:追跡可能であった対象者は33 名であり,転倒率は48.5 %であった.解析の結果,delta timeのみが有意な因子であり(p<0.01),転倒予測のためのカットオフ値は0.88 %であった.結論:脳卒中者における自宅退院後6 カ月間の転倒発生はdelta timeにより識別可能であった.