著者
阪口 公彬 川北 貴士 鈴木 千賀
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.93-96, 2018 (Released:2018-12-21)

本研究では、ベック津田β法、汚濁指数法を用いて、長野県飯田市阿智村に流れる阿智川・周辺の水辺を拠点とし、計測方法・考察を例に、地域マネジメントに寄与するべく水質調査の学習例案を提案したものである。実験は、阿智川その他3地点を拠点にし、同時期・時間・採集方法における水生生物を指数に用い、それぞれの計測指数に当てはめることで数値を測定した。調査では、調査地において6月に生育している水生生物を主な判断材料とし、ピンセットで捕獲できる大きさの個体のみを使用した。その結果、砂防ダム前を拠点とした川で2種の判定方法共に、水質は貧腐水性の数値が計測できた。ダム前という事で酸素の供給が絶えず行われており、林冠も見られ有機物の供給も豊富であると判断できた。また、底質環境からも多様性を高めている大きな要因と判断でき、水質階級Ⅰのカワゲラであるキカワゲラほか多数採集することができた。さらには、今回のこの調査結果をもとに、阿智川周辺の生物を基調とした水質判断シートを作成し、昼神温泉郷の旅客に配布することで人々が生物に興味を持つ機会を提供した。環境学習としての川・水質の保全への関心を高めるというその学習目的を地域環境マネジメントにも活用することが出来た。