著者
川口 俊太朗 山本 澄子
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.86-94, 2021-01-18 (Released:2021-03-15)
参考文献数
29
被引用文献数
1

背景:脳卒中患者に対し膝関節伸展固定の長下肢装具と膝関節のコントロールが可能な長下肢装具を装着させ,各装具の違いが歩行へ与える影響を検証することを目的とした.方法:対象は,回復期リハビリテーション病棟入院中で歩行が見守り以上で可能な脳卒中患者7名である.方法は,膝関節伸展固定の長下肢装具と膝関節屈曲が可能な長下肢装具で10 m歩行を行い,IMU慣性センサー・EMGを用い歩行計測を行った.結果:膝関節のコントロールが可能な長下肢装具において,歩行速度,ストライド長,歩行率が有意に増加を示し,関節角度は歩行中の麻痺側股関節伸展,外転,外旋角度の最大値が有意に小さい結果となった.筋活動は上記の条件下で荷重応答期の大腿直筋が有意に増加,遊脚期の脊柱起立筋は筋活動が有意に減少した.考察:膝関節のコントロールが可能な長下肢装具は,歩行時間距離因子を改善し,遊脚期における麻痺側の分回し動作を軽減させることを示唆した.