著者
一二三 達郎 池田 加江 江藤 良樹 井河 和仁 西村 耕一 小川 卓司 川口 博明 三好 宣彰
出版者
日本獸医師会
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.253-257, 2015 (Released:2015-07-06)

2012年7月から12月の6カ月間に福岡県のと畜場に搬入された馬610頭中53頭において肝臓に灰白色硬結節が認められた。硬結節の病理組織学的及び遺伝子検査を実施し,多包虫の感染状況を調査した。これらの検査結果から,39頭が多包虫症と診断された(感染率6.4%)。過去に報告されている軽種馬だけでなく,ポニー種,日本輓系種,北海道和種などのさまざまな品種で多包虫感染が確認された。疫学調査では,4頭が多包虫症の有病地である北海道での飼養歴が確認され,北海道で感染した可能性が考えられた。一方で,本研究の多包虫感染馬の多くは北海道での飼養歴は不明であり,これらの馬は感染地の特定が困難であった。しかし,日本での多包条虫の地理的分布や馬の生産状況を考慮すると,これらの馬も北海道で感染した可能性を完全には否定できないと思われた。
著者
川口 博明 笹竹 洋 野口 倫子 秋岡 幸兵 三浦 直樹 武石 嘉一朗 堀内 正久 谷本 昭英
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.143-146, 2016-03-20 (Released:2016-04-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

近年,動物の乗り物による移動の機会が増えている.動物福祉の観点から,輸送ストレスを軽減する対策が必要になってきている.今回,輸送ストレスによる乗り物酔い症状(嘔吐,流涎,元気消失)を示す11頭の犬に対して,より副作用の少ない輸送ストレス軽減のための新規鍼治療を試みた.この鍼治療は円皮鍼という貼り付けるタイプの鍼を経穴「耳尖(じせん)」に装着する簡便な方法であり,全例の嘔吐,流涎,元気消失を抑制した.今後,獣医診療に鍼治療が利用されていくことが期待される.