著者
川口 啓太
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.490, pp.27-72, 2013-01

すべての人たちがスポーツを楽しむ権利を認めた「スポーツ基本法」が,2011年(平成23)6月に成立した。学校教育などを通してスポーツの普及・振興を目指してきた「スポーツ振興法」の制定から50年目の全面改正であった。これまで競技スポーツに比重が置かれていた政策が,今回の基本法では「地域スポーツ」も重視されている。スポーツの推進を国の責務とし,国や地方自治体からの財政確保にも触れた内容でスポーツの転換期を実感する。しかし,1990年代のバブル経済崩壊の後遺症と2008年(平成20)秋の金融危機に端を発した経済不況は「失われた20年」とも言われ,今日もなお日本のスポーツに様々な形で影響を与えている。学校スポーツと共に日本のスポーツを支え築き上げてきた企業スポーツへの影響は特に大きく,この20年間に「200チーム以上の有力クラブが休・廃部した」とも言われている。