- 著者
-
滝沢 隆
川口 寛史
名倉 俊成
- 出版者
- 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
- 雑誌
- 繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.11, pp.834-837, 2016-11-25 (Released:2016-11-25)
- 参考文献数
- 4
形態安定加工ドレスシャツに関して,洗濯・乾燥後そのまま着用できるノーアイロンレベルを目指して,綿100%織物でW&W 性4 級確保の開発を行った.セルロース系の天然繊維である綿は,元々「縮む」「シワになる」という欠点があり,これを抑制するため,液体アンモニア加工及び樹脂加工を施して綿繊維を改質した.樹脂加工は,セルロースの非結晶領域のヒドロキシル基(OH 基)を,反応性の樹脂剤で架橋結合させるもので,この架橋結合によって形態安定性を得ることができるが,この架橋結合が一部分に偏在化してしまうと,生地強度が大きく低下する.この偏在化を最小限に抑えて繊維内での架橋を均一化させるため,樹脂加工工程の各種条件と使用薬剤等の工夫を行った.更に,シャツ縫製・プレス後に熱処理を行い樹脂反応させる,ポストキュア方式を組み合わせた.これにより綿100%素材でW&W 性4 級レベルを完成させ,洗濯してもシワが残らないドレスシャツを完成させた.