著者
三宅 周 尾上 公昭 川口 憲二 杉山 明 岩本 龍夫 村田 太郎 安原 高士 河野 宏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.730-733, 1984-07-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
16

我々はシメチジン(タガメツト)の内服により, 高プロラクチン(以下「PRL」)血症および乳汁漏出をきたした十二指腸潰瘍(以下「DU」)の1女性例を経験した.27才の女性. 昭和56年8月に空腹時の嘔気と心窩部痛を認め, 57年3月より再び心窩部痛を訴え, 6月に当院の外来を訪れた. 29日に胃透視上DUがあり, 同日よりシメチジン800mg/日内服を開始した. 9月7日に乳汁漏出に気づき, この時血清PRL値は43ng/mlで, プロモクリフ. チン(パーロデル)により2.0まで低下した. その後, シメチジン400mgとプロモクリプチン2.5mgを眠前内服としたところ, 血清PRL値は14.9ng/dlにとどまつた.自験例のように, シメチジン800mg/日の内服にて血清PRL値が43ng/mlにまで上昇した報告はみられない. プロモクリプチンは血清PRLを下げる作用があり, シメチジンの使用でこのような副作用のみられる症例には, 十分使用し得ると考えられた.