著者
森 義則 川口 理作 島田 憲次 生駒 文彦
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.74, no.10, pp.1799-1811, 1983-10-20
被引用文献数
2

1974年から1982年までの9年間に兵庫医科大学泌尿器科において,201例の小児泌尿器科疾患,患者に対して内視鏡手術が施行された.その内訳は,後部尿道弁32例,前部尿道弁4例,先天性球部尿道リング状狭窄135例,後天性尿道狭窄16例,膀胱頚部狭窄8例および尿管瘤6例であった.10Charriereまたは13Charriere幼小児切除鏡を使用した.後部尿道弁および前部尿道弁に対しては TURによる弁の切除が施行されたが,結果はきわめて満足すべきものであった.先天性球部尿道リング状狭窄に対しては直視下内尿道切開が施行されたが, VUR,夜尿症,再発性尿路感染の各々に対して良い結果がみとめられた.後天性尿道狭窄のうち瘢痕組織の強いものでは数回の直視下内尿道切開を要したが,ほぼ満足すべき結果であった.膀胱頚部狭窄に対する TURの効果がはっきりみとめられたものはなかったが,これは小児の膀胱頚部狭窄は他の原因による二次的なものがほとんどであるためと思われた.その他尿管瘤に対する内視鏡手術の適応についても述べた.