著者
奥山 健二 川口 辰也
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.229-247, 2010 (Released:2010-04-23)
参考文献数
98
被引用文献数
5 9

Triple helix は,すべてのコラーゲンで見られるタンパク質のユニークな構造モチーフである. コラーゲンらせんにおいては,そのアミノ酸配列中で Gly が必ず 3 残基ごとに存在し,イミノ酸含量が多いという厳密な制約が必要である.繊維状コラーゲンの X 線回折パターンは,1920 年代から研究されてきたが,回折データが少ないために繊維回折像だけからではユニークならせんモデルは得られていない.一方,最近 15 年間に,多くのコラーゲンモデルペプチドの単結晶解析が行われ,平均のらせん対称,水素結合ネットワーク,triple helix 周りの水の分布,ヒドロキシプロリンによる triple helix の安定化に対する構造論的な知見など,物理化学的に重要な情報を提供してきた.