著者
石井 僚 原田 雅也 松木 莉奈 川島 実紗 北村 紫織 高橋 麻緒 豊田 昂
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.457-466, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
参考文献数
57
被引用文献数
2

本研究の目的は,情報モラルの教示に合わせて集団もしくは個人アイデンティティを強化することが,SNS 上の否定的文脈への同調を抑制するか,パーソナリティ要因としての同調的対人態度を統制した上で検討することであった.実験協力者である大学生114名を情報モラルの教示と集団アイデンティティの強化を行う集団アイデンティティ強化群,情報モラルの教示と個人アイデンティティの強化を行う個人アイデンティティ強化群,教示や強化を行わない統制群に分け,場面想定法を用いた質問紙実験を行った.その結果,情報モラルの教示を行っても集団アイデンティティを強化された場合にはSNS における否定的文脈への同調は抑制されないこと,個人アイデンティティを強化された場合には場面によって同調が抑制されることが明らかとなった.情報モラル教育は,SNS の持つ状況的特徴が同調を抑制しづらくすることに配慮して行う必要があることが示唆された.