著者
川崎 泰之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.273-278, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究は日本において鉄道会社が主体的に行ってきた沿線開発事業の内、郊外の開発拠点として注力してきた遊園地に着目し、大手私鉄が経営していた郊外遊園地のうち閉園したものを対象として、その跡地利用について計画および実際の空間を調査し、都市計画公園・緑地の指定状況との関係性、鉄道や駅、周辺市街地との関係性、遊園地の景観資源との関係性について分析を行った。その結果、閉園前から都市計画公園に指定されていた事例は、高い割合で公園整備または公園的土地利用となっているが、閉園前も閉園後も都市計画公園に指定されていない事例は、公園整備面積が比較的小さく、そのことから都市計画公園・緑地制度が民間事業用地における公共的土地利用の担保性を持っていることがわかった。また鉄道や駅、周辺市街地との一体的整備により拠点性を高めている開発や、駅や鉄道との関係を重視した動線やゾーニングによる開発が多く見られた。景観資源については、自然環境に恵まれた立地特性を活かした事例が多く見られたが、歴史・文化資源については遊園地そのものを想起させる資源が残されている事例が少なく、郊外文化としての遊園地の記憶の継承が課題である。