著者
餅原 弘樹 山本 泰大 川村 幸子 木下 寛也 古賀 友之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.165-170, 2023 (Released:2023-06-19)
参考文献数
8

Mohsペースト(以下,MP)は,悪性腫瘍による皮膚自壊創の症状を緩和させる.MPの使用は患者のQOLを改善させる一方でさまざまな使用障壁が報告され,とくに在宅医療での使用報告は少ない.われわれはガーゼを支持体としてMPを厚さ約1 mmにシート化する工夫により,在宅医療でMP処置を実践している.本報ではその具体例を,訪問診療を受ける乳がん患者への使用を通して報告する.患者の主な症状は滲出液による痒み,臭気,自壊創そのものによる左上腕の動かしにくさであったが,週1回の処置を3回実施した後,いずれの症状も改善した.MPのシート化により,物性変化や正常皮膚への組織障害リスク,処置時間や人員配置といった使用障壁が下がり,MP処置を在宅医療にて開始できた.MPはシート化により,居宅でも初回導入が可能であり,既存の報告と同様に症状を抑える効果が得られる可能性が示唆された.
著者
神原 啓文 川村 幸子 下田 里美 小野 晋司 野原 隆司
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.253-260, 1993-03-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
30

1990年1年間の京都市消防局救急出動記録より,発症認知時間から24時間以内に死亡した急病患者(突然死)622例を抽出し,解析した.年齢は80歳代が最も多く,以下70歳代,60歳代,50歳代の順で,平均年齢は69.8±28.8歳であった.男性が374例,女性242例で,男女比は1.5,発症は冬に多く,夏は最も少なかった. 発症時刻には, 6~9 時および18~21時の2峰性ピークがみられ,深夜には有意にすくなかった.発症時刻から死亡までの時間は,1時間以内が388例(62.4%)と大半を占めた.発生場所は自宅(83.8%)が最多であった.発生状況としては,就寝中が最も多く116例(18.6%),次いで,安静時69例(11.6%),入浴中64例(10.3%),療養中で寝たきり55例(8.8%)の順であった. 運動中は2 例のみであった.発生時の主な所見としては,意識不明が385例,ついで,呼吸停止,脈拍停止,胸痛,呼吸困難,吐血などを含む容態の急変であった.274例(44.1%)には何らかの既往歴があり,心疾患の既往が88例(32.1%),ついで,脳血管系31例(11.3%),高血圧28例(10.2%),糖尿病18例(6.6%)などであった.死因は心疾患が最も多く363例(58.4%)を占めていた.心疾患の内訳としては心不全が圧倒的に多く,276例あり,ついで心筋梗塞71例,その他となっていた.脳血管系疾患は,118例(19.0%)あり,その内訳は脳内出血70例,くも膜下出血19例,脳梗塞16例の順であった.他に,呼吸器疾患(肺炎,気管支喘息,呼吸不全など),大動脈・静脈系疾患などがみられた.突然死例は高齢者に多く,心疾患が最も重要な原因と考えられた.