著者
川村 悟
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.47-53, 2015 (Released:2016-05-13)
参考文献数
9

中小企業の発展には,中小企業診断士,特に独立開業した資格者による活躍が重要である。中小企業診断士の円滑な独立開業に貢献するため,撤退事例の調査を実施する。独立開業経験者に対して定性的な聞き取り調査を行い,撤退事例とリアリティショックがどのように関連しているかを分析する。中小企業診断士の「資格に対する過信」や「コンサルティング業務へのあこがれ」がリアリティショックを生み出し,独立開業の撤退を引き起こしうる。また,既存のキャリア研究では「リアリティショックの対応策としてRealistic Job Previewが有効である」と主張するが,本研究は「独立開業の場合では起業者の自助努力が重要である」と指摘する。
著者
川村 悟
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.34-40, 2022 (Released:2023-01-27)
参考文献数
11

中小企業診断士における資格休止者を取り上げる。休止者は増加傾向にあり,さらに進行すれば中小企業支援の停滞につながりかねない。研究目的は資格者が活躍しやすい環境づくりに貢献することである。実態を洗い出すため,リサーチ・クエスチョンを「資格休止者の典型例とはどのようなものか」と設定する。文献・資料を用いて,年代は40~50代,職業は民間企業の属性が多数を占める,自己啓発志向が強い者が休止に陥る可能性があるとの特徴を指摘する。これらを踏まえ,「自己啓発志向の強い40~50代の民間企業勤務者」という典型例を示す。休止者の実態を明らかにし,志願者や資格者に対するキャリア選択の情報となる点が本研究の意義である。
著者
川村 悟
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.37-43, 2013

中小企業診断士には,フリーランスとして活躍する「独立診断士」,企業に所属する「企業内診断士」という二つの属性がある。後者の企業内診断士は,所属企業の副業禁止規定によって,企業外において診断サービスを提供しても,有償で活動を行うことが難しい。したがって,無償の診断を余儀なくされ,サービス品質を向上しにくい問題が存在する。本報告では,診断報酬の有償化によって企業内診断士のサービス品質向上が実現できることを検証する。有償化が引き金となり,「企業内診断士のモチベーション向上」と「中小企業の要求品質向上」が相互に作用する好循環が生まれ,中小企業診断士の専門性発揮や中小企業の経営改善に貢献しうる可能性を示す。