著者
川村 敬一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.20-36, 2017 (Released:2017-03-22)
参考文献数
70

本稿の目的は,1962 年創刊の英国技術索引(British Technology Index: BTI)において,分類の諸原理がどのように応用されているかを論証することである。BTI は索引法に関して確固たる理論的基盤をもっていた。その理論はBTI の初代編集長となるコーツが1960年の著書で展開していた。著書はランガナータンの分類理論の影響のもとに書かれていたが,件名目録法の新しい手法を提案していた。それはランガナータンのファセット分析とファラデーンの関係分析に基づく標目の統語法であった。BTI の特徴の一つは各主標目のもとに関連主題がまとめられるブロック構造の形成である。これは論理的に分節された件名標目と連鎖索引法による倒置相互参照で実現する。BTI 索引法の全工程がファセット分類法と密接な相関関係にあることを論証した。そしてBTI 索引法の神髄は関係分析を分類の文脈で遂行することであるとの結論に至った。
著者
川村 敬一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.20-36, 2017

<p>本稿の目的は,1962 年創刊の英国技術索引(British Technology Index: BTI)において,分類の諸原理がどのように応用されているかを論証することである。BTI は索引法に関して確固たる理論的基盤をもっていた。その理論はBTI の初代編集長となるコーツが1960年の著書で展開していた。著書はランガナータンの分類理論の影響のもとに書かれていたが,件名目録法の新しい手法を提案していた。それはランガナータンのファセット分析とファラデーンの関係分析に基づく標目の統語法であった。BTI の特徴の一つは各主標目のもとに関連主題がまとめられるブロック構造の形成である。これは論理的に分節された件名標目と連鎖索引法による倒置相互参照で実現する。BTI 索引法の全工程がファセット分類法と密接な相関関係にあることを論証した。そしてBTI 索引法の神髄は関係分析を分類の文脈で遂行することであるとの結論に至った。</p>
著者
川村 敬一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-25, 2004-07-07 (Released:2017-05-04)
被引用文献数
1

本研究では一般分類法の主類の選定と順序に関して,その哲学的および社会歴史的背景を考察する。このため1870年のHarrisの体系を起点に,現在までに考案され,単行本形式で出版された28の一般分類法(内訳は,普遍分類法11,統一分類法15,一館分類法2)を研究対象とする。一般分類法の主類は現実世界で確認される学問分野を基礎にしているが,世界観の相違と記号法の制約により,主類の数と順序は一様でない。さらに,一館分類法は自館の蔵書構成を反映し,国家の統一分類法はその社会歴史的背景を考慮している。普遍分類法だけが哲学的原理を保持している。筆者は体系の中心部が自然科学から始まるBrownのSC(1906), RanganathanのCC(1933), BlissのBC(1940), BCA/CRGのBC2(1977),およびUnesco/FIDのBSO(1978)が,進化論的発想に基づく普遍分類法の新しい系譜であると考える。これらは一般分類法における脱デューイの歩みでもあり,その歩みは1876年のDDCから数えて百年後に完結したのである。
著者
川村 敬一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-25, 2004

本研究では一般分類法の主類の選定と順序に関して,その哲学的および社会歴史的背景を考察する。このため1870年のHarrisの体系を起点に,現在までに考案され,単行本形式で出版された28の一般分類法(内訳は,普遍分類法11,統一分類法15,一館分類法2)を研究対象とする。一般分類法の主類は現実世界で確認される学問分野を基礎にしているが,世界観の相違と記号法の制約により,主類の数と順序は一様でない。さらに,一館分類法は自館の蔵書構成を反映し,国家の統一分類法はその社会歴史的背景を考慮している。普遍分類法だけが哲学的原理を保持している。筆者は体系の中心部が自然科学から始まるBrownのSC(1906), RanganathanのCC(1933), BlissのBC(1940), BCA/CRGのBC2(1977),およびUnesco/FIDのBSO(1978)が,進化論的発想に基づく普遍分類法の新しい系譜であると考える。これらは一般分類法における脱デューイの歩みでもあり,その歩みは1876年のDDCから数えて百年後に完結したのである。