著者
川添 郁夫
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.4_63-4_71, 2007-12-20 (Released:2011-09-09)
被引用文献数
4

統合失調症を発症した子どもをもつ母親9名への対処過程に関して半構造化的インタビューを実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)に準拠して分析した.その結果,母親は子どもの異常行動に対して緊張感を維持しながらケアを継続していた.ケアを継続できた要因は,仲間との出会い,仲間との共感,仲間に支持されたことの自信であった.母親にとって,子どもの統合失調症発症を受容することは困難を伴うことであり,回復の兆しに治癒を期待し,症状が再燃するたびに落ち込みを体験していた.受容は,母親のケアに対する積極的意思への変化により深まる傾向がみられた.また,母親は統合失調症に関して混乱と恐怖を強く記憶に留めていた.母親がもつ恐怖体験に対して,早期に心理的ケア行うなど,支援が必要であると示唆された.