著者
松尾 真樹 川田 純平 作山 秀
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.15-25, 2020
被引用文献数
1

<p>女性の社会進出に伴いメイク落としにも簡便性が求められ,アウトバスで使用できるクレンジングローションが普及してきている。一方,ローション剤型はコットン使用による摩擦感を感じやすく,耐水性化粧料に対するクレンジング機能は他剤型ほど期待できなかった。本特性は界面活性剤の性能によるところが大きいため,クレンジング機能向上と摩擦低減を両立できる界面活性剤の設計が望まれた。そこでわれわれはポリグリセリン脂肪酸エステル(PGFE)類に着目し,表面張力を指標としたPGFE 類のスクリーニング,製剤への安定配合およびその機能評価を行った。その結果,市場品で想定される配合量域において,PGFE の一種は従来の洗浄成分よりも低い表面張力を示し,さらに興味深いことに,スクリーニングにより得られた2 種のPGFE を特定の配合比率で併用した混合系は,単一成分系よりも低い表面張力を示した。また,PGFE の製剤安定化には,多価アルコールおよび補助界面活性剤の併用が有効であることがわかった。得られた製剤は従来製剤と比べてクレンジング機能が高く,摩擦感を低減でき,かつ保湿効果も高いことが確認された。</p>