著者
川畑 隼人
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

2010年度はこれまでの研究に引き続き、中央ユーラシアにおける青銅鈴の出現と拡散、社会的意味について検討を深めていった。特に、今年度は博士論文構想発表会と、全国規模の学会での発表と、ロシアでの資料調査が主な活動となった。まず、11月に奈良文化財研究所で開催された、日本中国考古学会で口頭発表を行なった。その内容は昨年度に文学研究科紀要に基づく内容で、「出土状況からみた弓形器の用途-諸説の検証と解釈-」という題目で研究発表を行ない、全国や海外から集まった専門の研究者から指摘と教示を受けた。また、同会の会員と交流を深めた。12月には、ロシアのモスクワとサンクト・ペテルブルクを訪れ、両都市の博物館を歴訪し資料の収集や本の購入、現地研究者との親交を深めた。特に、モスクワ歴史博物館とエルミタージュ美術館には、旧ソ連時代より収集された考古資料が多数所蔵されており、騎馬遊牧民の青鋼器や鉄器を中心に観察と写真撮影を行ない、多くの収穫を得た。この資料調査をまとめ、論文や研究ノートとして成果を発表する予定である。また、所属している草原考古研究会においても、資料調査の内容について発表を予定している。上記以外にも様々な調査を行なって来ており、その成果は論文や報告として雑誌に掲載される。来年度はロシアでの資料調査をもとにして論文執筆を行ない、年度末までに提出予定の博士論文の一部とする。堤出前に必要となる学内の博士論文構想発表会も7月に済ませており、「後期青銅器時代の中央ユーラシアにおける青銅鈴の出現」という題目で研究経過を発表し、今後の展開についての批判を受けた。現在は章立てや構成を精査している段階であり、各章にあたる論文をまとめている状況である。