著者
川端 聡 日浦 慎作 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.2673-2683, 2008-11-01
参考文献数
12
被引用文献数
3

コンピュータビジョンにおいて,画像中の処理対象物体の領域を抽出する手段として背景差分法が広く用いられているが,単純な背景差分法は背景の変化に対応できない.そこで多くの拡張がなされているが,背景物体の動きに再現性がある場合についてはあらかじめ得た背景画像列を固有空間により表現し,入力画像を固有空間に射影することで侵入物体の領域と背景画像とを同時推定する手法が提案されている.ここで侵入物体の領域は,画像修復問題における欠損領域と同様に扱われる.一方,固有空間を用いた欠損画像推定では,カーネルトリックを用いた非線形部分空間を利用する手法が提案されている.ところが,この手法では欠損領域が変化するとカーネル行列を再計算する必要があるため,侵入物体の検出のように,欠損領域が未知である場合には計算量が膨大になるという問題がある.そこで本論文ではカーネルトリックと繰返し投影により背景画像と未知物体領域を高速に同時推定する手法を提案する.