著者
青井 利哉 川辺 浩史 上久保 晶子 柿木 昇治
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.60-64, 2000-03-31

これまでの脳波バイオフィードバック研究は, α波出現に伴う主観的状態の変化や, その制御方略に関するものが主であり, 訓練による行動指標の変化を検討した研究は見られない.脳波バイオフィードバックの効果の検討として, 計量可能な行動指標の変化を観察することは, 訓練効果の評価の妥当性を向上させる.本実験においてはα波増強訓練, およびβ波増強訓練が時間評価に及ぼす影響について検討することが目的である.時間評価は15秒, 30秒, 60秒を設定して, 被験者にバイオフィードバック訓練前後で計測させた.α波バイオフィードバック訓練により主観的時間評価は長く評価され, β波バイオフィードバック訓練により短く評価されることが明らかになった.これは脳波周波数の増加は時間評価の過小評価をもたらすとしたWerboff(1962)の知見を支持するものである.本実験において, 脳波バイオフィードバック訓練と時問評価との対応関係が見られた.