- 著者
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川野 晃嗣
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 臨床眼科 (ISSN:03705579)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.11, pp.76-77, 1993-10-30
斜切開について 超音波乳化吸引術および6mm光学部直径眼内レンズ移植の際に強角膜切開の中心を1時半ないし10時半に置いて12時経線を切開しないでおくと(斜切開すなわち後述のベント切開),術後早期から角膜乱視の変化が少なく長期に安定している(図1)。これはこの切開部位が,外眼器(眼瞼,外眼筋)の影響を受けにくいために創傷治癒が起こりやすいことで説明される。 一般に眼球外の病的組織や器官,あるいは外眼手術が角膜乱視と関連をもつことについては過去に多くの報告がある。古くは霰粒腫が一過性に角膜乱視をひき起こすという報告があり,また眼瞼いちご状血管腫が眼球を圧迫することによって,その圧迫方向に角膜乱視強主経線が形成される報告,また先天性眼瞼下垂による角膜乱視が原因で屈折性弱視をひき起こすという報告,さらに眼瞼下垂の手術法によっては角膜乱視が減少したり増強するとした報告など,またさらには斜視手術後の一過性角膜乱視変化の報告などである。