著者
川﨑 翼 荒巻 英文 兎澤 良輔 加藤 宗規
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.569-574, 2015 (Released:2015-12-20)
参考文献数
19
被引用文献数
4

【目的】短時間の運動観察における運動学習効果およびその効果とワーキング・メモリ能力の関連性を検討することである。【方法】若年健常人31名を対象とし,運動観察する群(以下,観察群)20名と,運動観察をしない群(以下,観察なし群)11名に割りつけた。参加者は全員TMT part A(以下,TMT-A)とpart B(以下,TMT-B)の時間を測定された。観察群は,手本の鉄球回し映像を観察する前後における鉄球回しの10回転に要する時間と落下回数を測定された。観察なし群は運動観察を行わず,10回転に要する時間と落下回数を測定された。【結果】観察群は,観察なし群より鉄球回し時間の改善率が有意に高かった。観察群の鉄球回し時間の改善率は,TMT-Bの時間やΔTMT(TMT-B–TMT-A)と有意な相関を認めた。【結論】運動観察は,短時間の介入でも効果を示し,その効果にTMT-Bに示されるワーキング・メモリ能力が関与している可能性を示唆した。