著者
工藤 大祐 徳重 あつ子 片山 恵 田丸 朋子 岩﨑 幸恵
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.95-104, 2022 (Released:2023-03-02)
参考文献数
14

本研究の目的は,高齢者の普段の点眼姿勢の実態および,点眼時の椅子の背もたれ使用の有無と点眼成否との関係性を明らかにすることである.研究方法は,高齢者の普段の点眼姿勢の実態調査に加え,高齢女性に背もたれの有無で点眼を行ってもらい,点眼動作の動作解析を行った.動画より,点眼時の頭部後傾角度,肘関節角度,体幹後傾角度,点眼容器角度を測定し,背もたれの有無と点眼の成否,点眼液滴下の位置ずれを比較した.背もたれ無しでは,失敗事例で有意に頭部後傾角度が小さく,背もたれを使用すると点眼時に体幹が後傾し頭部が後傾しやすくなり,点眼時における滴下の位置ずれや点眼容器先端との接触による失敗リスクの軽減が望めた .背もたれを使用した点眼姿勢は安全で実施しやすい方法であり,点眼指導に取り入れることが可能であると言える.