著者
重松 俊男 工藤 洌
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.1, pp.103-109, 1981-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
2

従来,不足当量法は,その歴史的な経緯から不足当量同位体希釈法と不足当量放射化分析法にわけられていたが,不足当量分離の観点から新たに分類した。それにそって,放射化した試料について直接法,担体量変化法および比較法によりリンの定量を行なった。リンの不足当量法は,,モリブドリン酸のイソブチルメチルケトン(MIBK)抽出を用いた。担体量変化法については,従来の照射試料を二分する方法に加えて比較試料を用いる方法を検討した。NBS標準試料のオーチャードリーブス中のリン濃度を,直接法,担体量変化法の従来法および比較試料を用いる方法で定量したところ,それぞれ0.23±0.01%,0.22±0.02%および0.21±0.01%の値を得た。これらはNBSの保証値0.21±0.01%と一致しており,精度を含め定量法の正確さが確認された。その後,比較法でケイ素半導体中のリンを定量したところ,見かけの値として10.5,5.7ppbを得た。さらに,ケイ素の二次核反応で生成する32Pの量を補正したところ,ケイ素中のリン濃疫として7.9および3.1ppbを得た。