著者
加藤 木綿美 市來 和樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.689-702, 2015-12-25 (Released:2016-12-25)
参考文献数
23

本稿は、ダイナミック・ケイパビリティ (DC) 論の主要論文のひとつであるEisenhardt and Martin (2000) を取り上げ、同論文のDCに対する視点を再確認するとともに、同論文の新規性、および貢献を再検討する。既存研究では強調されていないが、Eisenhardt and Martin (2000) は「DCに共通性があること」を主張し、「DCは直接的には持続的競争優位に繋がらない」と主張した論文である。彼らは、企業にとって持続的競争優位の源泉となるのはDCではなく「資源の持ちよう (resource configuration)」であるという主張を行っているのである。よって、本研究を引用して「DCは持続的競争優位の源泉である」と主張するのは誤りである。