著者
森口 哲史 藤田 勉 市村 志朗
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 自然科学篇 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.19-28, 2008

フラダンスは,生涯スポーツとして中高年女性を中心に愛好家が増加している.しかしながら,その健康運動としての有効性を検証した研究は極めて少ない.本研究は中高年女性14名を対象にフラダンスを行った際の心拍変動,足圧重心動揺および気分プロフィールの変化について検討することを目的とした.その結果,フラダンス中の平均心拍数は60%HRmax程度であり,血中乳酸濃度の顕著な上昇はみられなかった.また,フラダンス直後の重心動揺総軌跡長は有意に短縮し(pく0.05),動揺面積も減少した. POMS検査では活気気分が有意に上昇し(pく0.01),すべての陰性気分が減少した.これらの結果より,フラダンス実践は,低強度の有酸素的運動としての効果が期待でき,運動刺激が一過的に重心動揺を制御する可能性が示唆された.また,陽性の感情変化は運動継続と精神的健康維持に寄与するものと推察された.本研究により,フラダンスは中高年者の健康運動活動として,心理生理的に有効性が高い可能性が示唆された.