著者
市村 直幸
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.66(2001-CVIM-128), pp.9-16, 2001-07-05

時系列画像上での特徴点追跡により得られる運動軌跡には,観測ノイズと共に,誤対応に伴う外れ値が含まれる.この観測ノイズと外れ値の影響軽減のため,状態空間モデルを用いた時系列フィルタリングを用いる.適切な状態推定を行うためには,状態推定を司る時変な超パラメータを特徴点の運動に応じてオンライン推定する必要がある.本論文ではその推定のために,特徴点の座標と共に超パラメータを状態に含め同時推定する自己組織化型状態空間モデルを用いる.状態推定には逐次モンテカルロ法を適用するため,非線形なモデルの線形近似は必要としない.人工データおよび実データを用いた実験結果から,提案したフィルタの有効性を検討した.
著者
市村 直幸
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,近年急速に発達している多数の計算コアを有する GPU (Graphics Processing Unit)を利用し,並列処理に基づく物体認識アルゴリズムを構成することを目的とした.まず,物体認識の基盤要素である局所不変特徴の抽出に対し,並列処理を適用した.方向マップと呼ばれるデータ構造を導入することにより,並列処理で効率的に実行可能な均一な局所演算により特徴抽出を構成できることを示した.その結果,従来の方法よりも,高速かつ特徴数の変化に対しスケーラビリティの高い特徴抽出を実現することができた.
著者
市村 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.1184-1195, 1995-08-25
被引用文献数
5

パターン認識などにおいて収集されるパターン集合には,主たるクラスタがいくつあるかわからず,更に,はずれ値(outlier)を含むようなものがある.本論文の目的は,そのようなパターン集合から,適切なクラスタ数を推定することである.パターンの分布を記述するモデルを設定すると,それに含まれるパラメータの最ゆう推定と, Akaike Information Criterion (AIC)やMinimum Description Length (MDL)を用いたパラメータ数の最適化からクラスタ数を推定できる. しかし,パターン集合にはずれ値が含まれる場合には,それらがパラメータ推定に影響を与え, よって,クラスタ数の推定にも影響を及ぼす.本論文では,はずれ値の影響を軽減するために,多変数混合正規分布モデルを用いた,最ゆう法に基づく二つのロバストクラスタリング(MARC1およびMARC2)を提案する.そして,そのクラスタリングの結果得られるパラメータを用いて, AICおよびMDLによるクラスタ数の推定を試みた.実験を通じ,各クラスタの45%のパターンがはずれ値に置き換えられても,それらがパラメータ推定に与える影響を小さくでき,適切なクラスタ数の推定が行えることを確認した. また,提案手法の適用限界についても考察した.更に,画像の領域分割への適用結果を示した.