著者
布川 彌太郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.555-560, 1971-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

ビール醸造家は, 昔から酵母の細胞壁の性質に多大の感心を示してきた。それは, 酵母の細胞壁がyeast-head formation, sedimentationあるいはattenuationといったビール醸造上の重要な諸現象に関連し, ひいては, 製品の品質そのものを左右しているからである。近年, 清酒醸造においても, もろみにおける高泡形成やもろみ末期の状貌が, 酵母細胞壁の性質によって支配されていることが明らかにされ, ようやく関心が高まりつつある。この時機をとらえ, 酵母の細胞壁に関する総説を著者にお願いした。本稿には, 酵母細胞壁の構造, その生理的な意義および醸造との関連等が述べられており, 読者は, 綱胞壁というものが, 単なる “タイヤ” 的存在ではないことがおわかりいただけることと思う。